アラームが鳴る。
ミサイルが接近している。
「く……」
迎撃しても半分も減らない。
数発喰らってしまったが、あとは地面や壁にぶつけて消す。
こちらも応戦。
両手のマシンガンをフルオートで撃ちまくる。
相手は左右にステップを踏み、弾を散らす。
それでも大量の弾はよけきれずAPが減っていく。
80……60……40……20…10…0。
マガジンが空になり、リロードタイムに入る。
それを見計らい、またミサイルを撃ってくる。
「くそ…さっきより多い」
リロードタイムは約3秒。
それまでにミサイルはあたる。
逃げ切れない、なら…!
「一気に叩き落してやる…!」
着地し、グレネードを構える。
ドッ!
先頭の一発に当たり、次々に誘爆していく。
ガゴンッ
グレネードからから薬莢が吐き出され、次弾が装填される。
ドンッ!
跳躍し、こんどは空中から打つ。
しかし、離れすぎていたせいか外れる。
「…ちっ」
こちらの残りAPはあと半分も無い。
相手も同程度だと思われる。
「一発逆転、やってみるか…?」
マシンガンをフルオート発射しながら高速で接近する。
80発のマガジンが凄まじい勢いで減っていき、0になった途端パージする。
格納のブレードを装備し、相手へ斬りかかる。
「はっ!」
左腕でプライマルアーマーを切り裂き、右腕でコアを突き刺す。
盛大に火花を散らしながら後退する。
「…ちっ」
浅かったのか、ブレードで抉られながらもクイックブーストで距離を離される。
距離を離されてはブレードが届かない。
すかさずこちらも追いかける。
ドンッ!
後ろから近距離でのグレネードを撃つ。
またしても直撃はしなかった。
が、爆発の衝撃で体制を崩す。
「もらった…!」
よろける相手に激突する。
プライマルアーマーを突き破り、コアへぶれーどを突き刺す。
ブシューッ
プライマルアーマーが消える。
離れると相手は前のめりに倒れる。
「……はぁ」
『やりましたね、作戦完了です』
「ああ……少し手間取ったがな」
「帰還して、ゆっくり休んでください」
「…そうさせてもらう」


「お疲れ様」
「ああ」
コクピットから降りるとオペレーターが待っていた。
「相変わらず、無茶な戦い方しますね」
「そうか?」
ドリンクをもらい、休憩室へ向かう。
「検査はどうしますか?」
「…今回はいいや」
「そうですか」
NEXT(ネクスト)にはプライマルアーマーというエネルギーシールドがある。
コジマ粒子によって生み出されるそれはリンクス(パイロット)を汚染する。
「体は大丈夫なんですか?」
「ああ、なんとも無い」
なんとも無い、と言ったが心配そうに見てくる。
他のリンクスには仲間を汚染しない為に別行動をとっている者も居る。
「では、ゆっくり休んでください」
「ああ」


「これよりシミュレーションを始めます」
真っ暗だったモニターに景色が映る。
「相手はベルリオーズです。頑張ってください」
プツ、と通信が切れる。
今回はベルリオーズのデータ。
ベルリオーズは国家解体戦争でも活躍したbPリンクスだ。
自分の機体も、ベルリオーズと同じレイレナード社の機体を基本としている。
ベルリオーズが動き出す。
左右の腕にライフル、背中にはグレネード。
「さて、勝てるか…?」
ドンッ!
牽制でグレネードを撃つ。
よけられる。
ガヂン!
薬莢が吐き出され、次弾が装填される。
ゴガンッ!!
「うっ…!」
ベルリオーズのグレネードが直撃する。
「くっ」
衝撃で動きが鈍るのを狙いライフルを撃ってくる。
鋼鉄の弾丸がPAを突き破り装甲を抉る。
こちらも負けじとマシンガンで応戦する。
しかしながら、マシンガンとライフルでは威力も、精度も違う。
グレネードをパージし、機動力を上げる。
「接近さえすれば!」
オーバードブーストとクイックブーストを使い、接近戦に持ち込む。
80発のマガジンをフルオートで撃つ。
「どうだ!」
マシンガンも、数が当たれば相当な威力だ。
PAを貫通し、装甲が抉られていく。
マガジンが空になるとパージし、ブレードへと切り替える。
「これで!」
両手ブレードでの、同時攻撃。
決まった…。
そう思ったが、ベルリオーズはそれをかわす。
わずかにPAを斬るだけで機体には届かない。
ゴゴォン!
「ぐっ!?」
すかさずベルリオーズはわずかな隙を狙い、グレネードを放ってくる。
爆炎で視界がいっぱいになり、光学ロックが出来なくなる。
PAも消滅し、チャージ状態となる。
「っ…くそ、奴は」
レーダーで位置を確認する。
「後!?」
振り向こうとすると、背中にグレネードを喰らう。
「ぐぉあ!?」
吹き飛ばされ、倒れる。
「っ……!!」
ライフルの銃口が、真っ直ぐコアを狙っている。
PAは消滅したまま。
ダン!ダン!ダン!


ビ――――――――――――ッ!
ブザーが鳴り、モニターにLOSEと表示される。
「………はぁ」
「負けましたね」
「ああ」
バシュッ
シミュレーターのハッチが開く。
「データに勝てないなら、本物は無理かな?」
bPリンクス、ベルリオーズ。
実力を認められ、例外的に他社のパーツを使う事を許されたリンクス。
「今、アナトリアで活躍しているリンクスが居ますから、戦えないかもしれませんね」
「そうだな、先をこされないように頑張るか」
今アナトリア一番のリンクスは次々に戦果を上げている。
「おれもあいつみたいに強くなるよう、頑張らないと」
「強くなったときにはもう戦争終わってたりして…」
「…それは、嫌だなぁ」
今頑張っている意味が…。
「じゃ、早く強くなれるよう、頑張ってください」
「ああ」


END